嘘をつかれると生まれる猜疑心。
それはだんだんと膨らんで、真実を見えなくする。
なにもかもわからなくなり本質をも見失う。。
黒澤は私がその為に何人かと別れることになったと話していた。
こんな女でも心は傷つく。
裏切りで受ける傷は被虐を好む私でもどうしようもできない。
つじつまあわせに誤魔化されても、関係を維持しようと努力しても、それはずっと後を引き、結局は終わってしまう。
「俺が全部を見せてお前が耐えられるとは思えない」
黒澤は言った。
「それでも嘘をつかれるのは嫌なんです」
「お前にいう必要のないこともある」
「それなら、私は貴方が答えたくないようなことは聞きません。
だから、私がどうしてもと聞きたいと思うことには答えてください」
心からの願いだった。
それと同時に、黒澤に好きに生きて欲しいと思った。
いままでしてきたように。。。
黒澤の自由に変わりなく、私が枷になることのないように、自由気ままに生きて欲しいと思った。
それが黒澤を受け入れる覚悟だった。
「こればっかりはやめられない」
黒澤は多頭を辞めるつもりはないと笑う。
それが黒澤でそのままが黒澤なのだから、全てを受け入れるなら、それもそのまま受け入れるしかないのだ。
黒澤のひどさも煩悩も理不尽さも全て、私は私の中の被虐で受け止める。
それが覚悟。
信じるとか信じないとかではなく、受け入れ諦める。
単純な事。
自分にされることはよくて、相手がしていることは駄目だとすれば話がおかしくなる。
私は何も隠さず、全てを黒澤に受け止めてもらっている。
黒澤の全てを受け入れて初めて関係が成り立つのだと思う。。。
黒澤はそのままで。。それが黒澤らしさ。。。
私は玩具。
使う使わないは黒澤が決めること。
でも、民主主義の中の奴隷さんたちと同じに、玩具も自分でスイッチをシャットダウンする方法は知っている。
黒澤の全てを受け入れられなくなったら、私は自分でスイッチを切るのかもしれない。
全か無か。。
私にはそれしかない。