黒澤に弄ばれて牝になるとき意外、私は当然、人として過ごす。
その時は牝を意識せずにすごしてるんだろうと思う。
社会の中でその歯車からはみ出して生活する事はできないから。
言葉遊びを嫌う黒澤がそのとき機嫌がよかったのか、私を『玩具』だと言った。。
それから私は黒澤の玩具になった。。。。
主従だとか奴隷だとか、「俺はお前の社会性を全て奪って、監禁してお前を使う事はできない。お前も全てを放棄してすごす事はできない。だから、そんな言葉にこだわる必要もないし、言葉に何の意味も無い」
リアルのみを求めてきた黒澤らしい意見。。
ずっとずっと昔、愛した人がいた。
得体の知れない肉欲は封印したまま。。。
その人の元に嫁ぎ、神様にずっと離れないと誓い、何年かを過ごした。
その人が死んだら同じときに自分も終わり、一緒の棺桶の中に入れてもらおうと決めていた。
ただ、月日は人を変えていく。
そんな意識も無いままに人は変わり、愛だと信じ続けたものはいつの間にか憎しみに似た感情に変わる。
私は神様に嘘をついた。
離れないと誓ったはずなのに、離れてしまった。。。
あれが愛ならもういらない。
私には縁のないものだったんだろう。。
壊れてしまうものなら、それは愛じゃない。
私は一人で生きていく事を選んだ。。
誰かと暮らしたり、心底心を求める事のできない私は、いつも、そこの部分で介入される事の無いように、既婚者とお付き合いをした。
壊れるものはいらない。
黒澤がいつも言う。「お前は冷たい女だ」
既婚者は私のことをとてもかわいがってくれる。
庇護の下で優しさに包まれて過ごす。。
『恋人』と呼ばれる私。
でもちがうでしょ?私は愛人だもの。。。
SMを目的に出逢っても、優しさの中でMではなく、愛人として過ごす。
私はどうしようもない感情に襲われる。
壊れている私は愛情を必要としない。
人として、人とのつながりは求めていても、女の私は、優しさではなく被虐だけを求める。
優しさを与えられながら、飢える。。。
気が狂うほどにはけ口の無い肉欲は体の中でくすぶり、優しさを疎ましく思う。。
「愛さないで。お願いだから、虐めてほしい。。。」
悲鳴を上げる体。。。求めても求めてもたどり着けない何か。。。
虐めてもらえないなら愛なんかいらない。
優しさが加虐を鈍らせてしまうなら、優しさなんかいらない。
一人で生きていけるから。私を守らないで。。私を大切にしないで。。。
昔見た映画。。
気のふれた女郎の西川峰子が着物をはだけ、乳房を握り潰しながら「噛んで~。。ここ噛んで~。。。」
と言いながら彷徨う。。。
あれが、私だった。。私の女そのものだった。。。
人としては人を求める。
かまってくれる人にはすぐ懐く。
でも、女の私は被虐だけを求める。
愛や、他の感情はいらない。。
「お前のMだけが欲しいから、抱かれに来い」
女の私が求めるものは男の黒澤。
意識の中に、男は黒澤ただ一人。。。
動く体の中の蟲達は黒澤にやっと辿り着いた。。
飢えていた体と体の中の被虐という消えない肉欲は黒澤を求め続ける。。
何もいらない。
黒澤に抱かれていたい。。女の私が望む事はそれだけ。
それだけでいい。
黒澤の加虐はなくならない。。。
黒澤が私を愛する事は決してないのだから。。。
黒澤との関係が終わるとき、その時私は人に戻る。
人として社会の中で一人で生きていく。
女はそこで終わるから。。。