快楽の中で溺れて、快楽の中で泳いで、私はRの手で女の体になることが出来た。
Rに出逢えて、忘れてた女を取り戻し、もしかしたら、知らずに過ごしたかもしれない快感を全部貰った。
それでも、体の奥の奥がまだ埋め尽くされずにいた。
贅沢?
かもしれない。。。
それでも快楽だけではダメだった。最後の最後に何かが残る。。
ある日、言った。
「縛って欲しいの。。。ぶって欲しい。。」
Rは何も答えなかった。
経験のたくさんあるRなら私が何者かわかったのかもしれない。
自然に連絡が遠ざかり、自然にRとは逢わなくなっていった。。。
縛ってもらえるはずもなく、ぶってもらえるはずもなく、虐められることはなかった。。。
快感だけでいい体ならRのもとにいられたのに。。。
それから私は自分が何が欲しいのか探し求めることになる。。。
黒澤に辿り着くまで、8年が過ぎた。。
Rの手と舌を思い出さないわけじゃない。。
あの人以上に私に快感をくれる人は他にはいないから。。。
それでもRにもう二度と会うことは無い。
私はRの名前も知らない。仕事もどこに住んでるかも。。。
年齢さえもしらなかった。
知っていたのはメルアドと携帯NOだけ。。
Rに出逢えたから自分を知ることが出来た。
Rに出逢わなかったらまだ他の何かを探していたかもしれない。。