黒澤はその日、私を、知り合ったサロンに連れて行った。
黒澤はそこの常連で、私は、時々お邪魔していた。
以前のお互いの相手のことも知っているその店に、
私は黒澤と行くことは無いと思っていた。
多頭の黒澤には都合の悪い事もあるだろうと思っていたから。
自分はいつまでも影の存在でいいと、そう思っていた。
連れて行くといわれ、驚き、
「いいんですか？」
と問い返す。
黒澤は
「いいんだ」
と言った。
店に入ると、マスターは驚き、
他の何人かの常連さんも、違和感を隠せない様子だった。
黒澤も、私もお酒は飲まない。
二人にコーヒーを入れてもらい、
黒澤の横で黙って過ごす。
何気ない会話を聞きながら。。。
何を私が考えてみても、
黒澤の意思はわかるはずも無い。
サロンで過ごす二人のことは人伝に広まるのかもしれない。
。。。黒澤がいいのならいい。。。
何をどう、考え、いいのかと悩んでみても、
何にもならない。。
黒澤に教えられたこと。
少しの時間をそこで過ごし、
黒澤とホテルに行く。
別々にお風呂に入り、
仕事で疲れていた黒澤は、寝息を立て始めた。
緊張と、使えない体を恨みながら、
私もいつの間にか眠っていた。
黒澤に引き寄せられて目が覚める。
キスで口がふさがれ、
不用意に出した舌が噛まれる。
。。千切れたら死んでしまう。。。
涙が溢れる。
声にならない悲鳴をあげ、
嫌々と首を振ろうとしても、
舌が千切れてしまうのでは無いかという怖さで動けない。
舌が痺れてくる。
黒澤が噛むのを止めたら、
悲鳴を上げた。
悲鳴が終わらないうちに、乳首が噛まれる。。。
痛みに体をねじり逃げようとする。
「やめて。。やめて。。。」
後ろを向くと押さえつけて背中を噛まれる。
泣いて、泣いて。。。
やがて黒澤が飽きるとまた眠る。
泣きつかれて私も眠る。
そしてまたしばらくして、クリを捻り上げられ痛みで目が覚める。
キスをして、口を塞いで、首に手がかかる。。
息が出来なくなる。。。
オチル。。。
朦朧とした意識の中で、
泣き、叫び、逃げ惑い、
また眠る。
朝まで繰り返される。
追い詰められて、
苦しさの中で、
私は幾度と無く逝ってしまう。。。
果てなく続くようで、
すぐ止めてしまったり、
飽きずに続いたり。。。
頭の中で全てが混乱し、
何も考えられないまま、
痛みと苦しさで逝く。。。
得体の知れないモノ。。。
背中に付くたくさんの歯型。
切れた乳首。。
痺れた舌は何日か黒澤の歯がそこにあるような感覚。。。
言葉は何も無い。
ただ、黒澤の玩具だと、
逢うたびに、使われるたびに、刻み込まれていく。。。
